匠の目線 File1 幻の酒米「八反草」を使い、「その先にある吟醸酒」を生み出した、女性杜氏の冴えたセンスと心意気。
「やわらかさ」と「キレ味」。この相反する要素を高い次元で両立する、福屋オリジナル吟醸酒「富久長」の誕生。
富久長 今田美穂さん
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富久長WEB

 古くから腕の良い杜氏を数多く輩出し、酒都<西条>はじめ、全国の酒蔵へ杜氏や蔵人を送り出してきた杜氏の里として、また醸造家の三浦仙三郎により軟水醸造法が編み出された、吟醸酒発祥の地としても知られる、広島県安芸津。

 この、瀬戸内海に面した小さな港町で、三浦仙三郎自らが名付けた「富久長」という由緒正しい酒銘を守りながらも、伝統の上にあぐらをかくのを良しとせず、飽くなき探究心で「その先の吟醸酒」づくりに情熱を注ぎ込んでいるのが老舗「株式会社今田酒造本店」です。そこで「匠の目線File:1」では、今田酒造本店の後継者で、全国でも珍しい女性杜氏の今田美穂さんに、幻の酒米「八反草」との出会いや、この酒米を使って醸し出した福屋オリジナル「純米大吟醸 富久長」への思いなどをうかがってみました。

今田酒造本店
港町、安芸津の落ち着いた町並みの
一角にある「今田酒造」。

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三浦仙三郎の「百試千改」の心構えそのままに
三浦仙三郎
安芸津の三津湾を見下ろす高台にある榊山神社境内には、三浦仙三郎翁の銅像が。「情報公開」により、吟醸酒作り普及の基盤を作った功績は、はかりしれない。

 吟醸酒の醸造法は、今をさかのぼること約100年前、安芸津の醸造家、三浦仙三郎翁によって生み出されました。地酒の生き残りをかけ全財産を投じて研究を重ね、二十数年目にして日本酒作りには不向きとされてきた安芸津の水「軟水」を使用した、いわゆる「軟水醸造法」を完成。しかも彼はこの画期的技術を秘伝とせず、広島県内各地の同業者に惜しげなく情報公開。その甲斐あって、やがて「仙三郎の酒=吟醸酒」は「広島の酒」として日本全国に知られることに。

 「三浦仙三郎先生をはじめ、広島の杜氏さんは命がけでお酒作りに打ち込んで、今日まで広島杜氏の伝統を守り続けてこられたんです」と語るのは、今田酒造本店の後継者、今田美穂さん。「その先人たちの知恵や努力を引き継ぎたいと思い、三浦先生の座右の銘である<百試千改>を今田酒造本店の信条として掲げています。日本酒づくりにはゴールが無く、文字通り、毎日が試しては改めるという試行錯誤の連続ですよ」。

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100年ぶりによみがえった広島産酒米「八反草」での吟醸酒作り
──福屋オリジナル「純米大吟醸 富久長」には、幻の酒米「八反草」が原料として使われているそうですが、その理由を聞かせてください。
 「酒米の王様として広く知られているのは『山田錦』。確かに優秀な品種ではありますが、そもそも地酒とは地域の風土を味わうもの。兵庫県原産の山田錦を使ったものでは、どうしてもオリジナリティが乏しくなってしまいます。そこで、広島産の酒造好適米はないかといろいろ探るうち『八反系統』のルーツである『八反草』にたどり着きました。1875年に育種され、一時は県の奨励品種として栽培されたものの、あまりにも高い草丈ゆえ育てるのが難しくて、農家から敬遠されて徐々に消えていった幻の酒米です。

 (財)広島県農業ジーンバンクに保管されていた、わずか一握りの種籾をわけてもらい、地元の契約農家にお願いして数年かけて増やしました。本格的な栽培に取りかかったのは2004年のこと。こうして約100年ぶりに現代によみがえった八反草は非常に硬い米なのですが、これを使った福屋オリジナル「純米大吟醸 富久長」には、広島の繊細にして素朴な自然がしっとりと息づいています。

 三浦先生がたいへんな御苦労をされて軟水醸造を開発されたように、人間の都合に合わせてくれない八反草だからこそ、醸し出すことのできる豊かな味わいがあるのです。もちろん八反草を使った日本酒作りをしている蔵は、全国でウチだけです」。

八反草
一度は酒造りの歴史から消えた八反草の稲穂が100年ぶりに復活。
八反草の米粒
粒は大粒ですが心白も少ない八反草は、酒造好適米とは正反対の性質だが、今田酒造は独自の技術を用いて、この希少品種ならではの、やわらかさとキレ味を引き出すことに成功。
(※)「心白」とは米の中心の白く見える部分で、一般的に心白があるのが酒造好適米とされている。
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こだわりグラスで富久長の味わいをさらに豊かに
吟醸酒用グラス
「これで飲むと一層美味しい」と今田美穂さんオススメの吟醸酒用「極うすグラス」。
──今田酒造の吟醸酒を味わうのに適した、オススメのグラスがあるそうですね。
  「私はお客様にもっとお酒の楽しみ方を提供すべきだと考えています。そのうちのひとつとしてオススメしているのが、電球を作る技術を応用した極薄のグラスです。富久長のフワッとしたやわらかな味わいをそのままカタチにしたような繊細なデザインもさることながら、グラスの口径が鼻まで覆うほど大きいので、豊かな香りも同時に楽しんでいただけます。量もある程度入りますから、「差しつ差されつ」ではなく、ご自分のペースでゆったりお召し上がりになることができるのです。
  こういうグラスのチョイスも含め、日本酒を楽しむ文化を国内だけでなく、今後は海外にも伝えていきたいと、「富久長」誕生100周年(※)を前に気持ちを新たにしています。」
※「富久長」の酒銘商標登録は1910年(明治43年)8月27日。
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今田酒造本店「富久長」の豊富なラインナップが楽しめるのは百貨店では唯一、福屋だけ!!
福屋八丁堀本店B1和洋酒コーナー 世良寿美恵

 これまで日本酒は、私たち女性販売担当にとっても「男性のお酒」というイメージが強く、お客様にご案内する際、少々ぎこちなさを感じることも正直ありました。でも、女性杜氏、今田美穂さんが母親のような気持ちで愛情注いで作られる「富久長」と出会って、すっかり印象が変わりました。ラベルデザインも清楚ですし、味わいもやさしくなめらかで、女性のお客様にも自信を持ってオススメできます。

 実は私、ワインアドバイザーの資格も持っているんですが、知れば知るほど日本酒に魅力を感じ、日本食に合うのはワインではなくやっぱりコレなんだと(笑)。なかでも富久長は品質.品格ともに素晴らしく、こうして福屋オリジナル「純米大吟醸 富久長」を今田酒造本店特約店としてお取り扱いできることに大きな喜びを感じています。

世良寿美恵
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